助成金申請の前に確認しておきたい社内規程・書類
- ラボ メグミ労務
- 4月11日
- 読了時間: 7分
更新日:4月26日
1.まず確認させていただくこと
助成金をご検討いただく際、当事務所ではまず、会社の就業規則や労務関係書類の状態が申請に進める状態かを確認します。
その理由は、雇用関係助成金の多くが、次のような点を前提としているためです。
雇用保険・労働保険に加入している事業主であること
労働基準法等の法令を遵守していること
その状況を確認できる帳簿や書類が整っていること
就業規則や36協定届など、届出が必要な書類について、必要な作成・締結・届出が適切に行われていること
「雇用保険に未加入」「労働条件通知書を交付していない」「勤怠が紙メモ程度」
といった状況の場合は、助成金申請の前に、保険加入や法定帳簿の整備といった最低限のコンプライアンス対応から整えるお手伝いをいたします。
2.就業規則・諸規程の整備
想定する助成金に応じて、必要となる規程を整理します。主なものは、次のとおりです。
就業規則本則
賃金規程・退職金規程・賞与規程
育児・介護休業規程、両立支援制度に関する規程
正社員転換制度規程、人事評価制度規程、教育訓練規程 など
3.主な確認書類
助成金の種類やコースによって必要書類は多少異なりますが、多くの雇用関係助成金で確認が必要になる主な書類は、次のとおりです。
(1)基本的に確認する書類
書類名 | 主な役割・助成金で必要となるポイント |
就業規則・諸規程 | 会社全体のルールを定める基本文書です。 常時10人以上の事業場では作成・届出義務があります。 10人未満の事業場でも、「就業規則またはこれに準ずる職場ルール」の提出が求められることがあります。 助成金の多くは「就業規則等に◯◯の制度を定めていること」「その制度に基づき実施していること」が要件になります。 申請する助成金に応じて、正社員転換制度や両立支援制度、賃金規程等が助成金要件と整合しているかを確認します。 |
労働条件通知書(雇用契約書) | 従業員ごとの労働条件(契約期間、就業場所・業務内容、所定労働時間、賃金、休日等)を明示する書類です。 就業規則どおりの条件で雇用しているか、助成金の「対象労働者」が要件どおりの条件で雇用されているか(契約区分、所定労働時間、賃金水準など)を確認します。 |
出勤簿・勤怠記録 | 実際の労働時間・出勤状況を示す書類です。 残業時間や休暇取得状況を把握し、賃金台帳との整合性(労働時間に応じた賃金の支払い)があるかを確認します。 残業代未払いなどがあると、助成金が不支給となることもあります。 |
賃金台帳 | 各従業員の賃金の支給状況(基本給・手当・割増賃金・控除など)を示す書類です。 例えば、賃金水準の引上げ、正社員転換後の賃金差、賞与・手当の有無など、助成金の要件となる「処遇改善」が正しく行われているかを確認します。 |
労働者名簿 | 各従業員の氏名、入社日、生年月日、雇用区分などを整理した法定帳簿です。助成金の対象となる従業員の属性(年齢、雇用保険の被保険者区分、雇入れ日など)を確認するために使用します。特に高年齢者・障害者・有期契約労働者等を対象とする助成金では重要です。 |
年次有給休暇管理簿 | 従業員ごとの年休付与日・付与日数・取得日・残日数を管理する書類です。年休の適正な付与・管理は法令上の義務であり、法令違反があると助成金が不支給となることがあります。 働き方改革関係等の助成金では、年休取得状況が確認されることもあります。 |
(2)必要に応じて確認することが多い書類
書類名 | 主な役割・助成金で必要となる理由 |
36協定届(時間外・休日労働に関する協定届) | 法定労働時間を超える時間外労働や法定休日労働を行わせる場合に締結・届出が必要な労使協定です。 時間外・休日労働がある事業場では、適正に締結・届出がされているか、また協定内容と実際の労働時間の運用に不整合がないかを確認します。 時間外・休日労働が発生しているのに36協定が未締結・未届出の場合、法令違反として助成金の不支給事由となる可能性があります。 |
雇用保険・労災保険の適用・加入状況が分かる書類 | 多くの雇用関係助成金は、雇用保険に加入している事業主・被保険者であることが前提です。 適正に加入しているか、保険料の滞納がないか等が確認されます。 |
社内の人事・評価制度、キャリアパス等の規程 | キャリアアップ助成金、人材確保等支援助成金、人材開発支援助成金などでは、評価制度や賃金制度、教育訓練制度を規程化し実施していることが要件となる場合があります。就業規則本則だけでなく、賃金規程・評価制度規程・教育訓練規程など別規程も確認対象となります。 |
4.これらの書類を確認させていただく理由
助成金の申請では、
制度を整えたこと
その制度が実際に運用されていること
その内容を客観的な書類で確認できること
が非常に重要になります。
厚生労働省の取扱いでも、申請時には多数の添付書類の提出が求められ、申請後も一定期間の保存が必要とされています。
また、会社には、法定帳簿を作成・保存する義務があります。労働者名簿は労働基準法107条、賃金台帳は108条、労働関係書類の保存は109条に根拠があります。
このような理由から、当事務所では助成金申請の前に、次の点を確認させていただきます。
必要な書類がそろっているか
書類同士の内容に矛盾がないか
書類の記載内容と実際の運用が合っているか
たとえば、
就業規則が古いままになっている
勤怠記録と賃金台帳の内容が合っていない
有給管理簿が作成されていない
といった場合には、申請前に見直し・整備が必要になります。
5.書類確認のポイント
助成金申請にあたっては、書類がそろっているかどうかだけでなく、書類同士が矛盾なく、実態と合致しているかが重要です。
(1)書類同士の内容が一致しているか
次の書類の内容が、互いに矛盾なく「つながっているか」を確認します。
就業規則
労働条件通知書(雇用契約書)
勤怠記録
賃金台帳
たとえば、
就業規則に記載されている労働時間と、雇用契約書の労働時間が異なっている
勤怠上は残業しているのに、賃金台帳に残業代の支払記録がない
といった状態は、助成金の審査だけでなく、法令遵守の観点からも問題となります。
(2)書類が法改正に対応しているか
就業規則は、一度作成して終わりではなく、毎年の法改正や実態の変化に合わせて見直すことが重要です。
助成金の申請では、導入した制度や運用の実態が就業規則や各種規程の文言で裏付けできることが求められます。たとえば、育児・介護休業制度、正社員転換制度、評価・賃金制度などについて、最新のルールが明文化されているかを確認します。
(3)書類の記載内容と実際の運用が合っているか
書面上は整っていても、現場の運用が追いついていないケースも少なくありません。
所定労働時間や休憩時間の運用が、就業規則どおりになっているか
残業代が正しく支払われているか
有給管理簿上の取得日と、実際の運用が一致しているか
などを確認します。不整合がある場合には、法令違反となるおそれがあり、助成金の審査にも影響します。その際は、修正方法と正しい運用のポイントをお伝えしながら、整備を進めていきます。
6. 書類や規程が整っていない場合もご相談ください
助成金の検討は、社内のルールや帳簿類を見直す良いきっかけになります。
助成金申請では、「とにかく申請を急ぐ」よりも、まずは土台となる労務管理体制や書類の整備を優先することが大切です。
この土台が整うことで、助成金の申請だけでなく、その後の労務管理の安定にもつながります。
7.まとめ
助成金申請は、「申請書さえ提出すればよい」ものではなく、日頃の労務管理や帳簿整備が前提となる制度です。
そのため、申請準備は、まず現状を確認することが大切です。
「まだ書類が十分に整っていないかもしれない」「就業規則が古いかもしれない」といった段階でも、早めに現状を整理しておくことで、その後の助成金申請を進めやすくなります。
自社の状況で助成金申請が可能か確認したい場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。
助成金全般のサポート内容については、助成金ページもあわせてご覧ください。




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