令和8年度 業務改善助成金 が公表されました
- ラボ メグミ労務
- 4月26日
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更新日:5月17日
神奈川県平塚市の社会保険労務士事務所「メグミ労務ラボ」です。
■厚生労働省から、令和8年度の業務改善助成金の案内が公表されました。
業務改善助成金は、最低賃金の引上げに対応しながら、設備投資や業務効率化を進めたい中小企業・小規模事業者にとって、活用を検討したい制度です。
事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金未満である中小事業者が対象です。
過去に業務改善助成金を活用した事業者も助成対象になります。
業務改善助成金は、最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ることを目的としています。
事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成されます。
「人手不足なので、少ない人数でも仕事が回るようにしたい」
「古い設備や手作業を見直して、生産性を上げたい」
このような会社は、ぜひ業務改善助成金の活用を検討してみてください。

■令和8年度の業務改善助成金の主な変更点
令和7年度からの主な変更点は次のとおりです。
項目 | 令和8年度の内容 |
申請コース | 50円・70円・90円コース (30円コースが廃止。賃上げの最低ラインが上がることで、より大きな賃金引き上げを支援する制度になりました。) |
助成率 | 事業場内最低賃金1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4 |
申請期限 | 「11月末」または「最低賃金発効前日」 |
注意点 | 【重要】賃金引上げ後の申請はできません |
【重要】
賃金引上げ後の申請はできません
令和8年度の変更点で、令和7年度に一部認められていた「賃金引上げ後の申請」はできなくなりました。賃金引上げは、申請の後に行う必要があります。
■特例事業者とは? 令和8年度の変更点と認められる設備
業務改善助成金では、次のどちらかの条件に当てはまると特例事業者になります。
特例事業者は、通常より有利な扱いを受けられます。
【特例事業者の要件】
①事業場内最低賃金が1,050円未満の事業場 ②物価高騰等要件に該当する事業者
例えば、神奈川県の地域別最低賃金は、令和7年10月4日発効で 1,225円 です。
したがって神奈川県内の事業場は、特例事業者のうち「賃金要件」には基本的に当てはまりません。
もっとも、利益率の低下がある場合は、物価高騰等要件で特例事業者に該当する可能性があります。
物価高騰等要件とは、
原材料費の高騰など外的要因により
交付申請書提出日の属する月の前月から遡って6か月間平均における
売上高総利益率または売上高営業利益率が
前年の同じ期間と比べて
3%ポイント以上低下
している事業者は、物価高騰等要件による特例事業者に該当します。
【令和8年度の変更点】
令和8年度は、この物価高騰等要件の判定方法が変わりました。
昨年度は、最近3か月間のうち任意の1か月を取り出して、前年同月と比べる考え方でした。しかし令和8年度は、最近6か月間平均を前年同期の6か月間平均と比較する方式に変更されています。
つまり、昨年度は「たまたま1か月だけ利益率が大きく下がった」というケースでも該当する余地がありましたが、令和8年度は、6か月平均で見ても利益率が下がっていることが必要です。一時的な落ち込みだけでは足りず、一定期間にわたる利益率の低下が求められる点に注意が必要です。
【特例事業者になると何が有利か】
①助成上限額の特例
特例事業者は、10人以上引き上げる場合の上限額区分を使えます。
コース区分別の上限額は、下記のとおりです。
・50円コースで130万円
・70円コースで300万円
・90円コースで600万円
②助成対象経費の特例
特例事業者のうち、物価高騰等要件に該当する場合は、
パソコン、タブレット、スマートフォン等の端末と周辺機器の新規導入も助成対象になります。
■業務改善助成金の流れ
大まかに下記のような流れになります。
・「事業場内最低賃金の引上げ計画」と「業務改善計画(設備投資)」をたてる
(最低賃金の引上げ:50円以上、70円以上、90円以上の3コース)
↓
・都道府県労働局に、2つの計画を記載した交付申請書を提出する(9/1~)
↓
・申請後に、計画に基づき賃金引上げを行う
(賃金引上げ:交付申請後 かつ 地域別最低賃金の発効日の前日まで)
(賃金引上げ日:就業規則等の最低賃金額が改定され、その適用がなされた日)
↓
・都道府県労働局で審査が行われ、助成金が交付決定される
↓
・交付決定後に、計画に基づき設備導入を行う(発注・契約・納品・支払い)
↓
・事業完了後に、実施結果を記載した「事業実績報告書」と「支給申請書」を提出する
↓
・都道府県労働局で確認後、助成金額が確定する
↓
・賃金引上げ後6か月経過時点で、状況報告書を提出する
↓
・助成金が振り込まれる
■申請期間は9/1からの短期間です
令和8年度の業務改善助成金で特に注意したいのは、申請できる期間が短いことです。
申請期間は、令和8年9月1日から、申請事業所に適用される地域別最低賃金発効日の前日までとされています。
たとえば、地域別最低賃金の発効日が10月1日の場合、申請する期間は、実質的に9月1日から9月30日までの約1か月です。
つまり、9月1日の時点で申請書類を提出できる状態に近づけておくことが大切です。
業務改善助成金の活用を検討している場合は、今の段階から申請に向けた準備を始めることをおすすめします。
■申請に向けて 今から準備を始めましょう
最低賃金の引上げ額が正式に決まる前でも、準備できることがあります。
設備投資の内容を検討する
導入したい機械・設備・ITツールを選定する
業者に相談し、見積書、相見積もりの取得を進める
その設備投資によって、どの業務がどのように効率化されるか整理する
就業規則や賃金規程を確認する
勤怠管理や賃金計算が正しくできているか確認する
賃金台帳、労働条件通知書、雇用契約書の内容に不備がないか確認する
令和8年度の最低賃金額の引き上げ額が発表(8月)される前は、自社内でまだコース(50円、70円、90円)や申請金額は、決めきれません。
しかし、設備投資の内容や社内書類の確認は、今から進めることができます。
また、業務改善助成金では、引上げ後の事業場内最低賃金額を、就業規則等に定める必要があり、申請に伴い、就業規則も提出します。
就業規則や賃金規程、賃金台帳、労働条件通知書に不備がある場合、申請直前に整えようとしても間に合わないことがあります。
これらの準備は時間がかかりますので、できることから早めに始めることが大切です。
■8月に最低賃金の引き上げ額が発表されたら行うこと
地域別最低賃金の引上げ額が見えてきたら、申請内容を具体化していきます。
事業場内最低賃金を確認する
賃金引き上げ計画を作成する
引上げ対象者を確認する
50円・70円・90円のどのコースで申請するか決める
助成対象になる人数を確認する
助成金の申請額を試算する
申請書類の内容を具体的に整え始める
助成上限額は、事業場規模、引き上げる労働者数、選択するコースによって変わります。
この段階で、対象者、引上げ額、コース、助成上限額、設備投資額との関係を整理して、申請内容をほぼ固めていきます。
なお、令和7年度(2025年度)の最低賃金引上げ額の公表時期は、 中央最低賃金審議会の「目安」答申が 8月4日、都道府県ごとの地方最低賃金審議会の「答申」取りまとめが9月5日までに行われました。
正式な発効日は都道府県ごとに異なり、2025年10月1日から2026年3月31日まで幅がありました。東京都は 2025年10月3日、神奈川県は2025年10月4日でした。
■9月1日までに行うこと(業務改善助成金の申請準備)
9月1日の申請開始に向けて、申請書類を提出できる状態に近づけます。
・交付申請書を作成する
・事業実施計画書を作成する
・賃金引上げ計画を整理する
・設備投資等の業務改善計画を整理する
・見積書などの添付書類をそろえる
・賃金台帳など、申請に必要な資料を確認する
・就業規則等に、引上げ後の事業場内最低賃金額を定める準備をする
ここで最も注意したいのは、9月1日前に賃金引上げを実施してはいけないことです。
賃金引上げは申請より後に行う必要があります。
申請前に賃金を引き上げてしまうと、助成対象外になります。
■9月1日以降に速やかに交付申請します
重要なことなので、再度順番について確認します。
賃金引上げは、申請後に行います。
設備投資は、交付決定後です。
9月1日以降、すみやかに交付申請書を提出します。
予算に限りがあるので、申請は9月1日以降、すみやかに行う必要があります。
ただし、郵送で申請する場合は、到達日を確認できる方法で送付し、賃金引上げの実施日との関係に注意してください。
郵送で申請する場合は、賃金引上げは「発送と同時」ではなく、申請書が労働局に到達した後に行う必要があります。
交付申請後、地域別最低賃金の発効日の前日までに、事業場内最低賃金の引上げを行います。
ここで最低賃金の引上げ日とは、就業規則や賃金規程等の最低賃金額が改定され、その適用がなされた日をさします。
賃上げ後の給与が初めて支払われた日ではないことに注意してください。
一方で、設備投資等については、申請後すぐに発注・購入してはいけません。
設備投資等は、労働局の審査を経て、交付決定通知を受けた後に行います。
交付決定前に行った設備投資等は助成対象になりません。
■間違えやすいポイント
業務改善助成金の申請は、申請の順番、賃金引上げの時期、就業規則の整備、見積書、賃金台帳など、確認すべき点が多くあります。
ここでは、特に間違えやすいポイントを整理します。
1. 申請前に賃金を引き上げないこと
賃金引上げの時期にも注意が必要です。昨年からの変更点として、
賃金引上げは、申請後 かつ 地域別最低賃金の改定日の前日までに行う必要があります。
「最低賃金が上がるから、申請前だが早めに時給を上げておこう」
「従業員への説明を済ませたので、申請前に賃金改定してしまった」
このような場合、助成対象外となります。
2. 最低賃金発効日当日に賃上げしないこと
地域別最低賃金の発効に合わせて事業場内最低賃金を引き上げる場合、
賃金引上げは、申請後から「発効日の前日」までに行う必要があります。
たとえば、地域別最低賃金の発効日が10月1日の場合は、9月30日までに賃上げを実施する必要があります。
3. 就業規則の適用日を申請日の後にすること
業務改善助成金では、賃金引上げは、単に給与の支払額を変更した日で判断するのではなく、最低賃金額を改定した就業規則等の改正・適用がなされた日で判断されます。
そのため、最低賃金額を改定した就業規則の適用日=賃金引上げ日と考えて進める必要があります。
給与締日の関係で実際の給与支払日が申請日の後であっても、最低賃金額を改定した就業規則の適用日が申請前になっていると、助成対象外となります。
就業規則や賃金規程の改定において適用日として見るべきなのは、就業規則や賃金規程の中にある、次のような「その改正内容をいつから効かせるか」を示す日付です。
附則の「施行日」
「この規程は〇年〇月〇日から適用する」
「改定後の賃金額は〇年〇月〇日より適用する」
4. 交付決定前に設備を発注・購入しないこと
業務改善助成金で最も注意したいのは、設備投資のタイミングです。
交付決定前に設備を発注(および契約・納品・支払い)した場合、その設備投資は助成対象外になります。
「納期がかかるので先に発注してしまった」
「必要な設備だから先に買ってしまった」
「助成金申請するつもりで、先に契約してしまった」
このような場合、助成対象として認められません。
設備投資等は、交付決定後に行う必要があります。
5. 就業規則等に引上げ後の事業場内最低賃金を定めること
引き上げ後の事業場内最低賃金額を、就業規則等に定める必要があります。
時給を上げていて、給与計算上は問題なくても、引上げ後の事業場内最低賃金額が、就業規則等に定めていなければ不支給になります。
就業規則や賃金規程が古い場合は、申請前に見直しが必要になることもあります。
6.賃金引上げ対象が雇用保険被保険者であること
昨年度からの変更点として、助成金の対象となる労働者は、申請時点で雇入れ後6か月以上経過している労働者で、かつ雇用保険に入っている労働者です。
週20時間未満のパートタイマーなど、雇用保険に加入していない労働者は、時給を上げても対象外になります。
7. 生産性向上につながらない経費であること
業務改善助成金は、単に古くなったものを買い替える制度ではありません。
生産性向上や労働能率の増進に資する設備投資等であることが必要です。
単なる買替や購入ではなく、その設備によって、どの業務がどのように効率化されるのかを客観的に説明できることが必要です。
<生産性向上への寄与が認められないとして不支給になる事例>
✖ 単なる買い替えや経費削減を目的とした経費
(LED電球への交換、通信費削減のためのプラン変更、資料作成の外注等)
✖ 不快感の軽減や快適化を目的とした職場環境の改善経費
(導線確保に伴うレイアウト変更、エアコン設置、執務室の拡大、内装工事等の改築費用、机・椅子の増設、空調服等)
✖ 通常の事業活動に伴う経費
(事務所借料、光熱費、交際費、消耗品費、通信費、掃除機等の清掃用品、汎用事務機器購入費等)
・広告宣伝費・販売促進費
(パンフレット、動画、写真等の作成及び媒体掲載、展示会出展、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等)
8. 賃上げをしたすべての従業員が助成金の対象ではない
助成金の対象になるのは『賃上げ前の時給が、新しい最低ラインより低かった人』だけです。
下記の例では、賃上げ前の事業場内最低賃金は、Aさんの1,050円です。
業務改善助成金(70円コース)により、Aさんの賃金を70円引き上げた場合に、新しい最低ラインは1,120円になります。
Bさんの賃上げ前の時給は、新しい最低ライン(1,120円)より低いですが、賃金の引き上げ額が40円だけなので、助成金の対象外です。
Cさんの賃上げ前の時給は、新しい最低ライン(1,120円)より低く、賃金の引き上げ額が70円なので、助成金の対象になります。
Dさんの賃金の引き上げ額は70円ですが、賃上げ前の時給が、新しい最低ライン(1,120円)より低くないので、助成金の対象外です。

(出典)中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)申請マニュアル
厚生労働省労働基準局賃金課 2026.4 P7
9. 不交付要件に該当しないこと
申請前の主な不交付要件は次の通りです。
✖ 交付申請書の提出日の前日から起算して6か月前までに、
・申請する事業場の労働者を会社都合で解雇した場合
・申請する事業場の労働者の時間当たりの賃金を引き下げた場合
✖ 交付申請書の提出日の前日から起算して1年前までに、労働関係法令に違反して司法処分(送検以上)された場合
✖ 令和7年度より前のいずれかの年度の労働保険料の滞納が解消されていない場合
✖ 交付申請前1年以内に、労働関係法令違反が司法処分(送検以上)された場合
また、未払い賃金や残業代計算の誤りがある場合も、法令違反として申請上問題になるおそれがあります。
10. 一般の自動車は対象外になったこと
令和8年度は、車両関係の取扱いが厳格化されています。
これまで助成対象経費の特例として認められていた自動車のうち、特殊用途自動車を除く一般の自動車は対象外になりました。そのため、昨年度まで申請できた普通自動車、軽自動車、バンなどの一般車両は、令和8年度は助成対象外です。
一方で、レントゲン車などの特殊用途自動車は、引き続き対象になり得ます。
車両の導入を検討している場合は、その車両が特殊用途自動車に当たるかを事前に確認することが重要です。
まとめ
令和8年度の業務改善助成金は、賃上げと設備投資を前向きに進めたい中小企業にとって、活用を検討する価値のある制度です。
一方で、申請期間は限られており、9月1日から地域別最低賃金発効日の前日までという短い期間で申請するため、事前準備とスケジュール管理がとても大切になります。
また、申請前に賃金を引き上げてしまう、交付決定前に設備を発注してしまう、就業規則等に引上げ後の事業場内最低賃金額を定めていないなど、順番や書類の整備を間違えると、助成対象外となるおそれがあります。
なお、助成金の交付申請書の作成・提出等について、業務として代理できるのは社会保険労務士と弁護士だけになります。
社会保険労務士事務所メグミ労務ラボでは、業務改善助成金の活用を検討している中小事業主様に向けて、申請前の要件確認、就業規則の整備、賃金引上げ計画の整理、申請書類の作成・提出代行、賃上げのタイミングの管理、申請後の実績報告などサポートしています。
「設備投資を考えている」
「最低賃金の引上げに合わせて助成金を活用したい」
「就業規則や賃金台帳が整っているか不安」
そのような事業主様は、申請時期が限られていますので、早めにご相談ください。
助成金全般のサポート内容については、助成金ページもあわせてご覧ください。




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